世界中でコロナウィルスの影響が出ているこの頃ですが、先日留学先のイギリスからシンガポールに帰国(?)しました。

これを書いている2020年12月時点では、シンガポールは一般の旅行者等の渡航は受け入れておらず、もともとシンガポールに住んでいる人、出張、シンガポールに家族がいる人等に限られています。
日本からの出張の場合は事前の検査などの条件を満たせば隔離なしで入国できますが、私の場合はイギリスからですし、「シンガポール在住者の家族」枠で入国したので、政府指定の施設(ホテル)での2週間の隔離が必要でした。

なかなか無い経験ですし、やり方一つ一つにシンガポールらしさが出ていてとても興味深い体験だったので、今回はその様子をレポートしたいと思います。



事前申請から入国まで

ルートや理由によって方法は異なりますが、現時点でシンガポール入国には事前申請が必要です。
申請自体はシンプルで、私の場合は1週間強で許可が降りました。

申請にはPCR検査代の$186と隔離先の滞在費の$2000が必要でした。自己負担させることで不用意に海外出て帰ってくる人がないようにしているんだと思います。
早速シンガポールらしいですね。

入国手続きはとてもスムーズで、着陸してから滞在先に向かうバスに乗り込むまで30分強ほどでした。
後述の通り入国時のPCR検査はないので、入国審査時に事前申請したことを確認される以外は普通の入国手続きと変わらず、むしろ空いているので平常時より速いくらいでした。
ゲートを出るとスタッフに誘導されてバスに乗り込みます。

ちょっと怖いのは、空港のスタッフからは特にどのホテルに泊まるのか教えてくれないので、目的に着くまでどこに向かっているのか分からないこと(聞けば分かるのかも知れませんが)。
私はGPSで自分の位置を確認して到着先を予想しながらバスの時間を楽しみました(笑

ホテルチェックイン時は一人ひとり事前申請を確認されたり、隔離ルールについて説明を受けたり、食事を出すために食べられないものを確認されたりするので、チェックインに15分くらいかかります…
私は幸い前の方だったのでいいですが、並ぶときに後ろの方になってしまうと1時間ほど待たされる可能性があります。。



滞在先はShangri-la Rasa Ssentosa

私の隔先はセントーサ島にあるShangri-laでした。
別ブログで紹介したOrchardにあるShanrgi-laとは同じブランドの別のホテルで、シロソ砦のすぐ隣、セントーサの西端にあるホテルです。

$2000で五つ星ホテルに2週間泊まれる(しかも3食つき)のは悪くないですね…恐らく空室だらけのホテル業界を支援する狙いもあるのだと思います。

知り合いの話を聞いたり英語で書かれたブログ等を読んでも、セントーサのShangri-laかResort Worldになっている人が多い様に思います。
どうせ部屋から出られないにしろ、やはり居住地から離れているセントーサの方が管理しやすいし、国民感情的にも市街地のど真ん中に隔離されるよりは安心なんでしょうね。(シンガポール政府が国民感情を考慮しているのかどうかは別として…)

部屋はこんな感じです。
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オーシャンビュー大好き人間としてはオーシャンビューでない部屋になったのが残念。勝手に割り振られるので運でしかないですね。。

でも緑が目の前で、ヤシの木など熱帯らしい景色が楽しめるのも悪くはありませんでした。11月のイギリスではこんな青空見られませんし…
写真右の方に見える橋がシロソ砦のスカイウォークだと思われます。

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一応、左手の方を覗き込めば海は少し見られました。ちょうど夕日が落ちる方向なので夕日がきれいでしたよ。
(私の部屋は最上階の11階でしたが、低層階だと木に隠れて海は見られないかも知れません)
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隔離中の生活

ルールと罰則


後述のPCR検査を除いては一歩も部屋から出てはいけないというのが大原則です。
当たり前ですが、ジムやプールなどのホテルの豪華ファシリティは使えない訳です…
でもベランダには出られるし、部屋は簡単な運動などするのに充分なスペースがあるので、私は息苦しさなどは感じませんでした。

一日に一回ホテルのフロントから電話がかかってきて、部屋にいることを確認するついでに体温を聞かれます。
また数回ほど保険局の人が部屋までパスポート確認に来ました。

ルールを破った場合は訴えられる可能性がある上に、パスポートやビザ剥奪という恐ろしい罰則があります。
イギリスやフランスでもロックダウンのルールを破った場合罰金をとっています(といってもイギリスではルールがあるだけで警察も本気で取り締まろうとしている感じはしませんでしたが)が、シンガポールではコロナ対策については罰金ですらない所に厳格さの違いが表れていますね。

食事・洗濯など


食事やクリーニングなどモノの受け渡しは部屋の前に置いておくという形で行われ、ホテルスタッフとさえ直接接触することはありません。


こちらが部屋の前のテーブルに食事が置かれている図。
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2週間は部屋の清掃等は入りません。
ベッドリネンは1週間に一度、タオル等は3日に一度、部屋の前に出しておくと替えてくれます。
衣類のクリーニングも3日に1回で、1日あたり$15分まで無料でできますが、ホテルのクリーニングは例えばTシャツ一枚で$8.5等の価格設定なので、着る服をよく考えるか、下着などは自分で洗うなどの工夫をしないと予算オーバーになってしまいます…

食事は上の写真の通りお弁当のような もので、ローカルフードか洋食でした。
2週目になると1週目と同じメニューをよく見るようになりましたが、1週間被らないだけでも個人的には充分でした。


ということで1週間分の食事を紹介します。

まずは朝食から。
お弁当一つにフルーツ、ケーキ、オレンジジュース。
弁当はナシレマや中華の日もありましたが、洋食の日が多かったです。
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続いて昼食。チキンライスやサテーなどローカルフード中心でした。
ペットボトルの水つき。
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最後に夕食です。
弁当はカレーやビーフンもありましたがほとんどはパスタで、ケーキ等のデザートとコーラ(1日だけスプライトの日がありましたが)つきです。
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一つ一つ味は良いのですが、2週間食べるものを全く選べないというのはきつかったですし、日本人からすると脂っこいものが多いので胃がもたれそうでした。。

私は比較的少食なので食べきれない分は廃棄するしかなく、常にもったいない症と格闘していましたが、よく食べる人の場合は足りないことも有り得ると思います。

部屋は冷蔵庫はありますが電子レンジはないので、余っても後で温めて食べることはできませんし。。私は特に前半時差ボケだったのでシンガポールとは違う食事時間で食べることが多く、冷めたもの食べていました…

追加でホテルのルームサービスを頼むこともでき、アルコール類を除いては通常の値段より30%になるようです。
(アルコール除外だったら意味ないじゃんと思ったそこのあなた、気が合いそうですね笑)



PCR検査

入国時には検査がなく、隔離終了の3日前に検査をします。

入国後はどうせ隔離しますし、潜伏期間中であれば検査しても陰性になってしまうので空港にわざわざ人員を配置して検査をするのではなく、隔離が終わる前に検査をしておこうということだと思います。
こういう効率重視の考え方もさすがシンガポールだなと思います。

検査は同じホテルのロビー脇のスペースで、数日前に時間帯等の案内がきてとてもスムーズに検査でき、2日後には電話で結果が伝えられました。
検査で部屋から出るときは服に目印となるシーツをつけて、ルールを破って部屋を出ている人ではないことを確認される徹底様です。


レポートは以上です。
徹底的な管理、隔離と検査費用の自己負担、厳しい罰則、入国直後ではなく隔離終了前のPCR検査など、とにかくシンガポール政府の厳しさと効率追求への姿勢を思い知った2週間でした。